学術論文等の即時オープンアクセス義務化について

概要

競争的研究費の助成を受けた学術論文等の即時オープンアクセスが義務化されました。2025年度以降に新規公募された競争的研究費による学術論文とその根拠データ(以下、学術論文等)が対象です。学術論文等は学術雑誌への掲載後、機関リポジトリを通して即時にオープンアクセスにする必要があります。2024年2月、「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」(以下、基本方針)により策定されました。
学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針(内閣府 統合イノベーション戦略推進会議 2024年2月16日)

このページでは、オープンアクセスの概要や義務化の対象となる研究費制度と研究成果、学術論文等の公開方法をまとめています。

参考資料
「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」(統合イノベーション戦略推進会議令和6年2月16日決定)の実施にあたっての具体的方策(関係府省申合せ 2024年10月8日改正)
学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針、及び学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針の実施にあたっての具体的方策に関するFAQ(内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 2024年10月8日更新)

目次

概要
オープンアクセスとは
義務化の対象となる研究費制度
義務化の対象となる研究成果
オープンアクセスにする際の掲載先
実施状況の報告
琉球大学で行っている支援
FAQ
問合せ

オープンアクセスとは

「基本方針」に関する説明の前に、オープンアクセスについて簡単に説明します。既にご存知の方は「義務化の対象となる研究費制度」からご覧ください。

オープンアクセス(Open Access:OA)とは、学術論文等をインターネットを通じて、誰でも自由に利活用できるようにすることです。オープンアクセスにする手段は次の2つです。

①グリーンOA(セルフアーカイブでの公開)
機関リポジトリ等で学術論文等を無料公開する方法です。今回の「基本方針」で求められている公開手段です。
琉球大学に所属している方は「琉球大学学術リポジトリ」を利用できます。琉球大学研究者データベースから掲載登録の申請が可能です。
海外の主要な出版社では、リポジトリ等での公開を一時的に制限する公開禁止期間(エンバーゴ)や、リポジトリで公開可能な版を定めたうえで、リポジトリ等での公開を認めているケースがほとんどです。リポジトリ登録申請後は、担当係でこれらの条件を調査、確認した上で、公開します。公開禁止期間がある場合の対応はこちらをご覧ください。

②ゴールドOA(オープンアクセス雑誌での公開)
電子ジャーナルにAPC(Article processing charges:論文掲載料)を支払って公開する方法です。
ゴールドOAには、さらに二つのタイプがあります。一つ目は掲載された論文がすべてオープンアクセスになるフルオープンアクセス誌、二つ目は購読料を支払う必要がある雑誌に著者がAPCを支払ってその論文のみオープンアクセスにできるハイブリッド誌です。

琉球大学では、2024年5月に「琉球大学オープンアクセスポリシー」を策定し、図書館や研究推進課がオープンアクセス化の支援を行っています。詳細は「琉球大学で行っている支援」をご覧ください。

義務化の対象となる研究費制度

以下の競争的研究費制度のうち、2025年度から新たに公募を行うものが対象です。

                         
資金配分機関 制度名 各機関の方針等
日本学術振興会 科学研究費助成事業 科研費における論文のオープンアクセス化について
科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業
(一部を除く)
オープンサイエンス方針
日本医療研究開発機構 戦略的創造研究推進事業
(革新的先端研究開発支援事業)
科学技術振興機構 創発的研究支援事業 オープンサイエンス方針

義務化の対象となる研究成果

査読付き学術論文
電子ジャーナルに掲載された査読済みの研究論文のことです。著者最終稿も含みます。

根拠データ
論文が掲載された電子ジャーナルの執筆要領や出版規程等において、透明性や再現性確保の観点から必要とされ、公表することが求められる研究データのことです。
Supplemental Data等の公表を前提としているデータであり、公表を前提としていないデータはオープンアクセス義務化の対象ではありません。

オープンアクセスにする際の掲載先

原則として、機関リポジトリに掲載することとなっています。琉球大学に所属している方は「琉球大学学術リポジトリ」をご利用ください。掲載するためのコンテンツ登録は琉球大学研究者データベースから行えます。詳細はこちらをご覧ください。

その他、CiNii Researchで検索できるようにすれば、以下のような方法で公開することもできます。
・琉球大学以外が提供している各リポジトリに掲載する(分野別リポジトリ、Jxivや科学技術振興機構(JST)が開発するリポジトリ等)
・学術出版社等の電子ジャーナルでゴールドOAにする

実施状況の報告

対象となる研究費制度の助成を受けた方は、各資金配分機関に対して、毎年度の実績報告を行います。
場合によっては、出版社から公開禁止期間の指定があり、即時にオープンアクセスできないことがあります。その際は実績報告時に、即時オープンアクセスができない理由を報告し、公開禁止期間終了後は直ちにオープンアクセスにする必要があります。

琉球大学で行っている支援

オープンアクセスに関して本学で行っている支援を紹介します。学術論文等の即時オープンアクセス義務化に際しご活用ください。

琉球大学学術リポジトリによる研究成果の公開
研究者データベースを通じて学術論文の掲載依頼を行うことができます。関連規程をご確認のうえ、研究者データベースを通じてお申込みください。手続き方法の詳細はこちらをご覧ください。
琉球大学学術リポジトリ規程
琉球大学学術リポジトリ登録細則
琉球大学学術リポジトリ登録者認証ID及びパスワード発行申請書

研究者データベースのアカウントをお持ちでない方は、「琉球大学学術リポジトリ登録細則」に定める「琉球大学学術リポジトリ登録者認証ID及びパスワード発行申請書」を下記問合せ宛にご提出ください。
その他、根拠データの登録のご希望やご不明な点等がございましたら、下記問合せ先までお問合せください。

【APCの支援】
図書館と研究推進課が支援を行っています。詳細はそれぞれのウェブページをご覧ください(2025年6月時点の情報です)。
図書館「オープンアクセス出版支援」
研究推進課「オープンアクセス化支援事業」

FAQ

Q. 琉球大学学術リポジトリに掲載依頼を行ってから登録されるまでにどのくらいの期間がかかりますか。
A. 約2週間程度です。繁忙期(3-4月、10月)は申請が増加するため、通常よりお時間をいただきます。なお、「基本方針」では学術論文等が電子ジャーナルに掲載されてからリポジトリ等に登録されるまでの期間は、3ヶ月程度が望ましいとされています。

Q. オープンアクセスにするには、APCの支払いが必要ですか。
A. 琉球大学学術リポジトリで公開すればAPCを支払う必要はありません。手続き方法は「琉球大学学術リポジトリによる研究成果の公開」をご覧ください。出版社によっては「公開禁止期間(エンバーゴ)」を定めている場合があります。その際は、毎年度の実績報告時に即時オープンアクセスができない理由を報告すれば問題ありません。公開禁止期間が明けたら、リポジトリ等でオープンアクセスの手続きを行ってください。ご不明な点等がございましたら下記問合せ先までお問合せください。

Q. 著者最終稿とは何ですか。
A. 著者最終稿とは、査読の後、著者が最終の修正を行った原稿で、出版社による編集(レイアウトの変更)がされていないもののことです。出版社の多くは、著者最終稿であればリポジトリで公開することを認めています。

Q. 根拠データを琉球大学学術リポジトリで公開したいのですがどうすればいいですか。
A. 研究者データベースから掲載依頼を行うか、下記問合せ先までご相談ください。場合によっては、根拠データのメタデータ(タイトルや著者名等の項目)について、担当係から相談させていただきます。

問合せ

附属図書館 情報管理課 情報支援係
TEL:098-895-8156
E-mail:tkjosi@acs.u-ryukyu.ac.jp