「琉歌大観」について


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          「琉歌大観」台湾大学図書館所蔵本

 沖縄県内の新聞社に掲載された「琉歌大観」関係の記事
  ・琉球新報   ・沖縄タイムス
                               平成8年12月5日

              「琉歌大観」について

 琉大図書館では、幻の琉歌集といわれ長年その存在を探し求めていた「琉歌大観」のマ
イクロフィルムを、台湾大学の好意により入手することができた。「琉歌大観」の稿本の
存在については、研究者間ではつとに知られていたが、去る沖縄戦で煙滅したものと思わ
れていた。ところが昭和56年この琉歌集が台湾大学図書館に保管されていることが、本
学の池宮正治教授の調査で分かった。その時点から琉大図書館では台湾大学図書館と複写
について何度も交渉をかさね、平成8年5月ついにマイクロフィルム版の入手にこぎつけ
た。その実現までに苦節10余年かかった。
 この「琉歌大観」は、第2代県立図書館長真境名安興(まじきな あんこう)が編纂し
たもので、奄美大島や宮古島、八重山島を含めて琉球列島全島から集められた膨大な琉歌
が紹介されている。時代は尚徳時代(1461)から大正6年(1917)までの450
年余に亘る。池宮教授によると、「琉歌大観」は真境名安興の死後遺族の手を離れて、昭
和15年ごろ神奈川県の古書店から売りに出された。そして台湾大学所蔵本(以下「台湾
本」とよぶ)は真境名(笑古)本(以下「笑古本」とよぶ)が売りに出される以前に、数
名の人を沖縄に派遣して書写させたものであるという。笑古本が全六冊であるのに対して、
台湾本は全五冊である。ということは笑古本は依然として行方不明ということになる。
 今回写しを入手した台湾本の原本は、巻一から巻五(五冊本)の和装袋綴本である。巻
によって字体がそれぞれちがうので、何人かで手分けして書写されたことがわかる。護得
久朝惟、昇曙夢、東恩納寛惇らの序文と真境名安興による琉歌の解説および編纂の大意が
記されている。また参考書目として61種(82冊)の古琉歌集のリストと五十音順の作
者名索引が付されている。真境名による歌詞解釈と本文の中の歌詞注釈は、歌意の理解に
役立つ。古語で諸説あるものについては未詳語としてその旨注記されている。
 ところで、当然あると思われていた伊波普猷の序文がない。東恩納寛惇らの序文を読む
と、伊波普猷も編纂に関わっていることがわかる。「琉歌大観」が刊行されなかった理由
と併せて不可解である。
 ともあれ、長年の夢がかなえられたことで、台湾大学にはあらためて感謝の意を表した
い。今後琉球文学の研究だけでなく琉球古典音楽の研究発展にも大きく寄与するものと確
信しており、学内のみならず広く県民に公開していくつもりである。
 なお、池宮正治教授の「台湾大学より真境名安興編『琉歌大観』とどく」の原稿は次回
発行の「びぶりお」30巻1号(1997年1月)に掲載予定である。


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