<講演会要旨>
・マネジメントとは
ここでいうマネジメントとはいわゆる経営という辞書的な意味ではなく,「問題を根本的に解決していくこと」という程度の意味であり,大学図書館におけるマネジメントとは,最善のサービス行う上での障害を取り除く根本的解決志向のことであり,それは,問題の核心はなにか,誰が当事者なのか,いつまでに解決すべきか,そして,根本的に解決されるまでの暫定措置はどうすべきかという対応によってなされる。
・ 山形大学の例
山形大学において,教官が他の大学に異動するにあたって一部の図書館資料を移動先の国立大学へ管理替えしたいとの要望が出た。この場合,関係者である大学図書館,大学の経理部,文部省等の意向を確認し,図書館協議会で最終的な解答を示すことになるが,その期限を年度内とし,その間の暫定措置として,その教官に相互貸借で資料を貸出するという対応をとった。そして最終的に「外部から山形大学所蔵の所属換えを要請された場合の対処方針」を作成した。実は,個人研究図書の取り扱いなど,同じような問題は他の大学でも起きており,対応もしているはずだが,きちんとしたルールを作成しておらず,ドキュメントを残していないため,いつまでたっても同じような問題が解決されずに残っている感がある。
・教育改革について
教育改革の核心とは,研究優先から教育優先への教員の意識改革であるといえる。大学図書館において教員による図書の推薦制度や,指定図書制度などが上手く機能しないのは教員側のこの意識の問題に負うものが大きい。例えば教員は講義で使う図書をこまめに図書館へ知らせるべきであり,学部の意見は図書館協議会等を通してもっと図書館へ反映させるよう努めるべきである。一方,図書館側も高価なコレクションなど個々の教員の予算では買えない資料や,各教員が重複して購入している雑誌等については図書館で購入し管理するなどの貢献策を考えなければならない。また,メディア情報教育についていえば設備を整えるだけではなく,教員が何をどの程度使えるように学生へ教育するかという具体的な方針をもつことが重要である。
・社会貢献について
大学図書館ができる社会貢献としては,地域住民への資料の閲覧,貸出があげられる。しかし,地域住民が大学図書館へ求めるのは公共図書館に無いようなアカデミックな資料の利用であるが,そういった資料は教員の研究室にあるという現実がある。この場合,学術雑誌のカレントは研究室に置き,バックナンバーは図書館で保管し,市民へも閲覧させるという方法が考えられる。しかし,大学図書館の役割の優先順位としては教育,研究,社会貢献の順であり,社会貢献のために教育や研究に支障が出ないよう注意すべきである。
・リーダーシップについて
大学図書館におけるマネジメントにおいては,館長をはじめとする管理職のリーダーシップも重要な役割を担っている。館長等は図書館と教員をつなぐパイプとして図書館協議会を機能させ,図書館の意見を教授会や理事会などできちんと発言するよう努めるべきである。 |