環境保健学教室

 

A. 研究課題の概要

 

1. インドネシアの蚊の調査

 1997年7月26日から8月31日まで文部省国際学術研究助成によりインドネシアのスラヴェシ島, フローレス島で蚊の生息状況や蚊相の特徴を調べると共にマラリア伝搬蚊について調査を行った。その結果, イエカ属 (Culex) とギンモンカ (Topomyia) の蚊の新種を発見, 現在記載中である。又日本学術振興会大型共同研究によりロンボック島で蚊相の調査を行った。

 

2. 東南アジアの蚊のタイプ標本との比較研究

 1981年以来, 東南アジア各地で採集した多数の蚊の標本のうち, 分類学上疑問視されているArmigeresとTopomyia属の手元の標本とタイプ標本の比較研究を下記の博物館で行った。英国・大英博物館(1996年7月4日-9月25日), 米国・ワシントン自然史博物館 (1997年3月10日-4月10日), ハワイ・ビショップ博物館 (1997年4月10日-4月21日)。大英博物館ではDr. Horbach, ワシントンではDr. Pyton, Dr. Huang, ハワイではDr. Evenhuisと東南アジアの蚊の分類学上問題点について話し合った(當間, 文部省在外研究員)

 

3. ラオス国, カムアン県におけるマラリア媒介蚊の生態学的研究

 日本国際協力事業団(JICA)のラオス公衆プロジェクトの一環としてビエンチャンの国立マラリア・寄生虫・医昆虫研究所(IMP)に所属する研究者への技術移転のためにカムアン県でマラリア媒介蚊の生態調査を1997年1月7日から1月20日まで行った。

 

4. 琉球列島産同胞種群の分子生物学的研究

 沖縄産蚊の同胞種群のrDNA遺伝子群のITS1とITS2の塩基配列を調べ, 比較検討した。結果は1998年4月開催予定の第50回日本衛生動物学会で発表の予定である。

 

5. 室内塵中のダニと気管支喘息

 気管支喘息をはじめアレルギーの症状をもつ場合に, 就寝中, 寝具からのダニアレルゲン曝露の重要性が指摘されている。当研究室では, 喘息患児の寝室の布団および床のダニ数と喘息症状の推移を2年間追跡することで, 電気掃除機によるダニ除去の有効性を検討した。さらに, ダニアレルゲンに感作されないための掃除方法をマニュアル化することを目的として, 寝室でのダニ除去の床材や寝具の素材, 掃除機の吸い込み仕事率, 掃除機の先端につけるノズルの違いによって, ダニ除去効果に違いがあるかどうかも検討した。今年度は保育所や病院内のダニについても調査中である。

6. 西原町における井戸水の有効利用とその水質

 本調査は沖縄県衛生環境研究所との共同研究で, 井戸の構造や使用状況, 水質を明らかにし, 水の有効利用に関する資料を得る目的で平成8年4月より実施した。方法としては井戸を所有する家を対象にアンケートを実施, また西原町の地質分布をもとに3地区に分け, 年3回の割合で水質検査を行った。

 

 

B. 研究業績

 

1. 原著

G97153: Miyagi I, Toma T, Wabyahe LMM, Uza M (1996) Historical review of mosquito control as a component of malaria eradication program in the Ryukyu Archipelago. Southeast Asian J Trop Med Public Health 27 498-511.

 

G97154: Miyagi I, Toma T (1997) Description of Topomyia irianensis n. sp. and new records of To. papuensis from Maluku and Irian Jaya, Indonesia (Diptera: Culicidae). J Am Mos Cont Assoc 13 134-139.

 

G97155: 武田富美子, 當間孝子, 宮城一郎, 岸本眞知子, 宇座美代子, 小笹美子 (1997) 沖縄県での寝具のダニ除去の試み. 衛生動物 48 243-249.

 

G97156: Hasanuddin Ishak, Toma T, Miyagi I (1997) Seasonal prevalence of Aedes aegypti (L.) and Aedes albopictus (Skuse) in Sulawesi, Indonesia. Ryukyu Med J 17 131-134.

 

G97157: Kobayashi J, Nambanya S, Miyagi I, et al (1997) Collection of anopheline mosquitoes in three villages endemic for malaria in Khammuane, Lao PDR. Southeast Asian J Trop Med Public Health 28 615-620.

 

4. 報告

H97158: Nambanya S, Kobayashi J, Miyagi I, et al (1996) Collection of mosquitoes in four villages of an endemic area of malaria in Khammouane, Lao P.D.R. XIVth International Congress for Tropical Medicine and Malaria 332.

 

H97159: 比嘉由紀子, 當間孝子, 宮城一郎 (1997) 日長、温度がAn. s. saperoi成虫の翅形態に及ぼす影響. 衛生動物 48 28.

 

H97160: 武田富美子, 當間孝子, 宮城一郎, 岸本眞知子 (1997) 寝室の掃除機による2年間のダニ除去の試み. 衛生動物 48 48.

 

H97161: 比嘉由紀子, 當間孝子, 宮城一郎 (1997) 沖縄本島産サペロイハマダラカ Anopheles saperoi saperoiと西表島産オオハラハマダラカ An. s. ohamaiの形態的変異に関する研究. 衛生動物 48 175.