生体機能学教室

 

A. 研究課題の概要

 

1. 薬物代謝酵素の活性調節に関する研究

 グルタチオントランスフェラーゼ (GST) は, 薬物や毒性代謝物のグルタチオン抱合を行う解毒酵素で, これまでにGSTが, 活性酸素,反応性の高い薬物代謝中間体の結合, およびプロテアーゼによる限定分解等で活性化されることを明らかにした。今年度は, GSTを特異的に分解するプロテアーゼをラット肝ミクロソームより分離精製し, 抗体作製を行い, このプロテアーゼが酸化および自己分解により活性化され, GSTを分解するようになることを証明した。

 

2. 沖縄産薬草および伝統食品の薬理作用に関する研究

 沖縄には, 古くから民間薬として使用されてきた多くの薬草があり, また, 紅麹を用いた沖縄独特の食品がある。本研究では, これらの薬草, 伝統食品の抗酸化作用, ラジカルスカベンジャー作用をチェックし, 抗酸化作用を有するものについて, 肝障害防止作用, 種々病態改善作用の有無を検討した。紅麹菌については肝保護作用を有することを明らかにし, その有効成分として新規の2化合物を分離することが出来た。また, 沖縄産薬草90種類の抗酸化作用をチェックし, 多くのものに強い抗酸化作用があることを見い出し, その中で, リュウキュウヨモギ, グアバ, ボタンボウフウについては肝障害防止作用を有することを明らかにした。

 

3. アフリカ産薬草の抗酸化作用の研究

 アフリカで用いられている薬用植物の薬理作用については科学的な研究が少ない。本研究では,アフリカ産薬草を抗酸化作用の有無で評価し,ガーナで喘息の治療に用いられている薬草がガラクトサミン, アフラトキシンB1による肝障害を抑制することを明らかにした。

 

4. オニヒトデ毒の生理活性に関する研究

 オニヒトデ棘皮毒中の生理活性物質としてこれまでに血液凝固抑制成分 (プランシニン), 平滑筋収縮物質について検討してきた。本年度は, 棘皮毒からプロテアーゼを分離精製した。

 

5. 中高年女性に対する各種運動が骨密度に及ぼす影響

 中高年女性を対象に, 持久性運動と筋力運動トレーニングをそれぞれ10週間行ない, その効果を2重エネルギーX線吸収法 (DXA) による全身および部位ごとの骨密度の測定結果から検討を行った。その結果, いずれの運動トレーニングも骨密度に明らかな変化を引き起こさなかったが, 筋力運動トレーニングは骨代謝マーカーの血中濃度を有意に変化させ, 骨代謝を亢進させることを確認した。

 

 

B. 研究業績

 

1. 原著

G97001: 野口克彦, 安仁屋洋子, 松崎俊博, 小山智之, 坂梨又郎 (1997) ?-受容体遮断薬bopindololの虚血再灌流障害におよぼす影響と抗酸化作用. 心臓 29 Suppl 2 49-53.

 

G97002: 高倉実, 崎原盛造, 秋坂真史, 尾尻義彦, 加藤種一, 當銘貴世美, 新屋信雄, 平良一彦, 三輪一義 (1997) 高校生における抑うつ症状と心理社会的要因との関連. 学校保健研 39 233-242.

 

G97003: 秋坂真史, 尾尻義彦, 高倉実 (1997) スポーツ関連因子からみた女子高校生の骨密度に関する研究. 体力科学 46 375-382.

 

4. 報告

H97001: 島袋恵, 宜保久子, 与那嶺正人, Gyamfi MA, 安仁屋洋子 (1997) 紅麹菌のアルコール肝障害抑制作用. Jpn J Pharmacol 73 Suppl T 115.

 

H97002: Gyamfi MA, Aniya Y (1997) Medicinal herb, Thonningia sanguninea protects against aflatoxin B1 acute hepatotoxicity in Fischer 344 rats. The 1st International Conference of Asian Society of Toxicology Abstracts 160.

 

H97003: Aniya Y, Shimoji M, Kohatsu M, Gyamfi MA, Shimabukuro M, Gibo H (1997) Antioxidant action of fungus and plants which have been used for preparation of fermented foods and drinks. 2nd International Conference on Bioradicals and 5th International Workshop on ESR (EPR) Imaging and in vivo ESR Spectroscopy Abstracts 46.

 

H97004: Kunii D, Tamaki A, Kamiyama N, Shimabukuro M, Aniya Y (1997) Plants with antioxidant action: Protection against CCl4-induced liver injury in mice. International Symposium on Antioxidant Food Supplements in Human Health Abstracts 59.

 

H97005: Aniya Y, Kunii D, Tamaki A, Kamiyama N (1997) Proteolysis of microsomal GSH S-transferase in vitro and in vivo. International Workshop on Glutathione Transferases Abstracts 84.

 

H97006: 島袋美那子, 國井大輔, Gyamfi MA, 安仁屋洋子 (1997) 抗酸化作用を有する沖縄産薬草の研究. 日薬理誌 111 83.

H97007: 尾尻義彦 (1997) 沖縄県在住の健康女性の最大酸素摂取量,血清脂質,体組成,骨密度の加齢変化. 沖縄の気候・風土と長寿に関する研究 平成8年度厚生科学研究補助金 (長寿科学総合研究事業) 成果報告書 27-33.

 

H97008: 尾尻義彦, 吉川朝昭 (1997) 中高年女性の骨粗鬆症予防に,持久性運動と筋力運動のいずれを主体としたトレーニングが有効か?. ・中富健康科学振興財団第8回研究助成業績集 46-49.

 

H97009: 尾尻義彦, 高倉実, 吉川朝昭, 大城幸枝, 宮城鐵夫, 大城喜一郎 (1997) 中高年女性における持久性運動と筋力運動トレーニングが骨密度に及ぼす影響. 体力科学 46 746.