薬剤部

 

A. 研究課題の概要

 

1. 薬物相互作用に関する研究

 生体内に投与された薬物は吸収, 分布, 代謝, 排泄の過程を経て体外に放出される。薬物相互作用はそれぞれの過程で生じ, その研究はすでに数多く報告されている。しかし, 特に新薬の相互作用はまだ明白になっておらず, 薬物個々においてそれぞれ実験に基づいて検討を加えなければ, まだ充分な薬物相互作用の実態はつかめられない。また, 薬物の体内動態の多くの研究において動物実験のデータからヒトにおけるデータを推定しなければならないが, 吸収, 分布, 排泄に関しては, それ程大きな種差は認められないが, 代謝に関する種差は極めて大きいので特に注意が必要であると言われている。

 高速液体クロマトグラフを使用してラットに投与された薬物の血清中から固相抽出法により敏速に薬物濃度が測定できる方法を開発した。この方法を使用して, 先ずは実験動物による薬物相互作用は血中薬物濃度を測定することにより検討を加えたい。その実験データを基にしてヒトにおける薬物相互作用の検討が加えられ, その研究を促進したい。又, 動物実験のデータは医薬品の適正使用と安全性の確保のため使用され, 医薬品添付文書の改定資料として必要となるようなデータを報告したい。

 使用する薬剤は, 新薬の?-遮断剤カルベジロールとニューキノロン剤のフレロキサシン, スパルフロキサシンである。カルベジロールは初回通過効果を受け, グルクロン酸抱合体で排泄され, 蛋白結合の強い薬剤である。フレロキサシンは主に未変化体で尿中に排泄される。スパルフロキサシンは肝臓で主に代謝され, 生体内でグルクロン酸抱合を受け尿中又は糞中に排泄される薬剤である。これらの薬剤の血中濃度が他の併用薬剤によってどのように変化, 変動するか薬物動態パラメータ等を使用して比較検討を加えたい。

 

2. 薬物血中濃度測定及びその動態解析

 薬理作用と血中濃度に一定相関があり治療有効濃度域が明確な薬物においては, 薬物血中濃度モニタリング (TDM) を行うことで個人毎の適切な投与設計が可能となる。特に, 有効域の狭い薬物や投与量と血中濃度との相関性の悪い薬物などの使用時, 薬物による中毒が疑われる時, 抗てんかん薬やジギタリス製剤の使用時の症状コントロール, 予防目的で投与される薬物の治療効果の確認などのために薬物血中濃度測定とその動態解析を継続して行っている。又, 何らかの生理的, 病態的要因, 薬物相互作用などによって個々の患者の薬物体内動態が特異な場合, TDMの臨床的意義はさらに大きく, このような場合は, 実際に薬理作用を発現する遊離型濃度の測定を行うことにより対応している。この測定法を導入することにより的確な薬物療法が期待される。

 

 

B. 研究業績

 

1. 原著

G97020: 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 芳原準男 (1997) バルプロ酸ナトリウムとカルバペネム系抗生物質メロペネム併用時の薬物相互作用について. 臨床薬理 28 425-426.

 

G97021: 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 芳原準男, 坂梨又郎 (1997) バルプロ酸, パニペネム・ベタミプロンの in vitro 血清蛋白結合における相互作用とラット血清中動態に及ぼす影響. 臨床薬理 28 427-428.

 

G97022: 芳原準男, 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 坂梨又郎 (1997) バルプロ酸とイミペネム/シラスタチンナトリウムの相互作用について. 臨床薬理 28 433-434.

 

G97023: 坂梨又郎, 樋口マキヱ, 松崎俊博, 仲宗根淳子, 宇座美代子, 芳原準男, 池村政次郎, 大城進, 糸嶺達 (1997) 大学医学部 (医科大学) 附属病院薬剤部および大学薬学部 (薬科大学) における臨床薬学教育. 臨床薬理 28 239-240.

 

G97024: 大城進, 外間惟夫, 芳原準男 (1997) ポピドンヨードのHPLC法による定量. 病院薬学 23 202-206.

 

G97025: 芳原準男, 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 坂梨又郎 (1997) ラットのカルベジロール血中動態に及ぼす塩酸タリペキソールの影響. 病院薬学 23 420-423.

 

G97026: 芳原準男, 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進 (1997) ラットのフレロキサシン血中動態に及ぼす塩酸タリペキソールの影響. 九州薬会報 51 9-15.

 

G97027: 芳原準男, 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進 (1997) ラットにおけるフレロキサシンとバルプロ酸の相互作用. 病院薬学 23 548-552.

 

G97028: 比嘉保, 芳原準男, 比嘉小百合, 砂川敦子 (1996) 琉球大学医学部附属病院における治験と市販後調査の受入れ状況. 琉球医会誌 17 115-118.

 

G97029: Hobara N, Kameya H, Hokama N, Ohshiro S, Sakanashi M (1997) Rapid and simple determination of fleroxacin in rat plasma using a solid-phase extraction column. J Chromatograph B 703 279-283.

  

2. 総説

S97002: 渡久山京子, 芳原準男, 比嘉保 (1997) モルヒネ大量投与とターミナルケア -癌患者の症例にみる- . クリニカルファーマシー 13 26-31.

 

S97003: 芳原準男, 池村政次郎,大城進, 渡久山京子, 亀谷浩昌, 大村央子, 比嘉保, 喜屋武典, 外間惟夫 (1997) 琉球大学医学部附属病院薬剤部の活動状況と今後の展望. 琉球医会誌 17 181-188.

 

4. 報告

H97075: 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 芳原準男, 喜屋武典, 糸嶺達, 酒井将之, 池村政次郎, 坂梨又郎 (1997) バルプロ酸組織移行性に及ぼすパニペネム・ベタミプロンの影響. 日本薬学会第117年会講演要旨集 4 185.

 

H97076: 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 芳原準男, 池村政次郎,喜屋武典, 糸嶺達,酒井将之 (1997) バルプロとメロペネム併用時のバルプロ酸尿中排泄量と組織中濃度への影響. 日本薬学会第117年会講演要旨集 4 185.

 

H97077: 芳原準男, 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 池村政次郎, 喜屋武典, 糸嶺達, 酒井将之 (1997) イミペネム/シラスタチンナトリウムとバルプロ酸ナトリウム併用投与時における血清バルプロ酸ナトリウム濃度の低下とその作用機序の解明. 日本薬学会第117年会講演要旨集 4 221.

 

H97078: 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 芳原準男, 坂梨又郎 (1997) カルバペネム系抗生物質パニペネム・ベタミプロンとバルプロ酸との薬物相互作用. 琉球医会誌 17 119.

 

H97079: 芳原準男, 田島小百合, 酒井将之, 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 小山雄三, 小川由英 (1997) ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤とタクロリムスの相互作用について. 新GCPとこれからの臨床試験;臨床薬理阿蘇九重カンファレンス 96.

 

H97080: 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 芳原準男 (1997) 塩酸タリペキソール同時併用時におけるフレロキサシン血中動態の変化. 第7回日本病院薬学会年会講演要旨集 174.

 

H97081: 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 芳原準男, 坂梨又郎 (1997) ラットにおけるカルベジロールと塩酸タリペキソールの相互作用. 第7回日本病院薬学会年会講演要旨集 288.

 

H97082: 芳原準男, 池村政次郎, 上原正徳 (1997) 沖縄県における抗パーキンソン病薬の処方箋発行実態調査. 第7回日本病院薬学会年会講演要旨集 301.

 

H97083: 酒井将之, 池村政次郎, 上原正徳, 芳原準男 (1997) 沖縄県における経腸栄養剤の使用状況. 第7回日本病院薬学会年会講演要旨集 302.

 

H97084: 大城進, 外間惟夫, 亀谷浩昌, 芳原準男 (1997) ラットにおけるスパルフロキサシンとアセトアミノフェン, 塩酸ブロムヘキシンとの相互作用. 第13回沖縄県薬剤師会学術大会プログラム・講演要旨 24.

 

H97085: 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 芳原準男 (1997) メロペネム併用によるバルプロ酸の血中濃度低下について. 第13回沖縄県薬剤師会学術大会プログラム・講演要旨 25.

 

H97086: 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 芳原準男 (1997) バルプロ酸とパニペネム・ベタミプロンとの相互作用について. 第13回沖縄県薬剤師会学術大会プログラム・講演要旨 26.

 

H97087: 池村政次郎, 芳原準男, 上原正徳 (1997) 沖縄県における痛風治療剤の処方実態調査. 第30回日本薬剤師会学術大会講演要旨集 279.

 

H97088: 芳原準男, 池村政次郎, 大城進, 糸嶺達, 坂梨又郎 (1997) 薬学生の臨床薬学教育における総合大学医学部 (医科単科大学) 附属病院薬剤部と総合大学薬学部 (薬学単科大学) の実態アンケート調査.第30回日本薬剤師会学術大会講演要旨集 308.

 

H97089: 芳原準男, 池村政次郎, 大城進, 糸嶺達, 坂梨又郎 (1997) 大学病院薬剤部と大学薬学部における臨床薬学の卒後教育についての実態調査. 第61回九州山口薬学大会講演要旨集 218.

 

H97090: 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 芳原準男 (1997) 塩酸タリペキソール併用時期の違いによるフレロキサシン代謝動態の変動についての検討. 第61回九州山口薬学大会講演要旨集 219.

 

H97091: 外間惟夫, 亀谷浩昌, 大城進, 芳原準男, 坂梨又郎 (1997) ラット血漿中カルベジロール動態に及ぼす塩酸タリペキソール投与時間の影響. 第61回九州山口薬学大会講演要旨集 220.

 

H97092: 大城進, 外間惟夫, 亀谷浩昌, 芳原準男 (1997) ラットにおけるスパルフロキサシンとアセトアミノフェンの相互作用. 第61回九州山口薬学大会講演要旨集 222.

 

H96093: 渡久山京子 (1997) 行政と薬剤師. 第61回九州山口薬学大会講演要旨集 108.

 

H97094: 芳原準男, 田島小百合, 酒井将之, 亀谷浩昌, 外間惟夫, 大城進, 小山雄三, 小川由英 (1997) 腎移植患者に投与された免疫抑制剤タクロリムスの血中動態に及ぼすジヒドロピリジン系Ca拮抗剤の影響. 第18回日本臨床薬理学会プログラム要旨集 122.