生理学第二講座

 

A. 研究課題の概要

 

1. ピット膜への色素取り込みの走査型レーザー顕微鏡による測定 (寺嶋真一)

 ハブの赤外線受容器中の温度受容器 (温繊維終末) は絶えず自発発射を出している。自発発射はエネルギー消費を伴うので酵素の活性と密接な関係があると考えられる。一方, 蛍光色素 (rhodamine 123) はミトコンドリアへの取り込みが特異的であることが知られているので, この色素の取り込み量の違いを指標にして活性の違いを示そうと考えた。温繊維の自由終末中にミトコンドリアと小胞が密に詰まっている。ハブの頭部の温度をいろいろと変えた条件で同色素を潅流して超生体染色を行った。頭を15, 25, または30℃の水に浸けて色素液を潅流し次いで固定液を潅流した。走査型レーザー顕微鏡 (FLUOVIEW, Olympus) によりミトコンドリアの蛍光色素の取り込み量を測定して温度による違い比較した。比較対照の基準としては, 温度に感受性がないと考えられるSchwann細胞の細胞体 (主として核) への取り込みを採った。比較的な取り込み量は15℃で最も高く, 30℃で最も低かった。

 

2. 脳神経組織におけるアデノシンによる保護作用 (宮本孝甫, 宮本忠臣*, 大野信久**[*小倉記念病院研究部, **京都大学心臓外科])

 虚血による神経細胞の死滅に対してアデノシンは保護作用を発揮することは知られている。その説明としてはアデノシンがA1受容体を経由して神経細胞の過分極をもたらし, 興奮性を抑制することによって興奮性伝達物質 (グルタメート, アスパルテート等) の過剰な放出をおさえるとされて来た。

 我々はアデノシンの影響をmicrodialysis及びHPLC-ECDにて調べたところ, 中枢神経各部位をアデノシンを加えたCSFにより灌流すると, その量に応じて抑制物質として知られるタウリンが放出されるが興奮性伝達物質の現象は見いだされなかった。この事から中枢神経におけるアデノシンによる保護作用として知られて来たものには, アデノシンが直接作用するものと放出されたタウリンの効果によるものがあることを示唆している。そこでタウリンの保護効果をウサギの虚血脊髄において調べた。タウリンの保護作用は代謝率に換算して約10%であることが分かった。

  

 

B. 研究業績

 

1. 原著

G97001: Zhu A-Q, Terashima S (1997) The characteristics of slowly adapting mechanichal sensory neurons in the trigeminal ganglia of crotaline snakes. Prim Sensory Neuron 2 129-141.

 

G97002: Terashima S, Zhu A-Q (1997) Single versus repetitive spiking to the current stimulus of A-beta mechanosensitive neurons in the crotaline snake trigeminal ganglion. Cell Mol Neurobiol 17 195-206.

 

G97003: Miyamoto AT, Ohno N, Miyamoto KJ (1997) Taurine enhancement of the protective effects of hypothermia. Kokura Memorial Hospital Proceedings 30 16-20.

 

4. 報告

H97001: Terashima S, Zhu A-Q (1997) Ultrastructure of the LTTD of the habu, Trimeresurus flavoviridis. Neurosci Res NERADN S223.

 

H97002: Terashima S, Zhu A-Q (1997) A-delta mechanical nociceptive (mN) neurons of fast conducting type and neurons with a similar spike form in the crotaline snake. Jpn J Physiol 47 S164.