解剖学第二講座

 

A. 研究課題の概要

 

1. 生殖細胞における細胞質橋の形態研究とその組織化学 (安澄文興)

 生殖細胞の発生過程で, 両性共に特異的構造の細胞質橋が一時期出現し, その形態が広範な種で著しく保存的であることは良く知られている。 本研究ではこの細胞質橋が非常に特異的膜構成を有することを見出し, 従来通説となっている細胞質橋の意義とは異なる考えを証明しようとしている。実験動物として軟体動物・中腹足類の精子発生を検索し, 細胞質橋の細胞膜は規則的な波状構造を持ち, コレステロールを欠如し, また膜内のタンパク質粒子を殆ど含まない。このようにコレステロールと膜内粒子を含まない形質膜の存在は, 生物界で非常に特異的で, 膜の外表面で認められる糖衣の存在から, 細胞質が多くの糖脂質から成ることが類推され, その意義を追求する。

 

2. 両生類胚の神経組織分化における同質誘導現象 (栗原一茂)

 現在様々な組織分化・器官形成に関する誘導現象が調べられているが, 研究の主流は異なった組織間での相互作用であり同一細胞集団内での細胞分化に関しての研究は少ない。両生類胚神経組織分化において脊索の誘導作用によって神経化された細胞が隣接する未誘導の細胞を神経化するという現象は神経系形成における同質誘導と定義される。この現象は組織分化・器官形成を理解するうえで重要と考えられるが最近までこれに関する研究は少なくこの1, 2年でその存在が確実視されるようになった。今後この現象を細胞レベルで調査したいと思っている。

  

B. 研究業績

 

1. 原著

G97001: Yano K, Toda M, Uchida S, Yasuzumi F (1997) Gross anatomy of the viscera and stomach contents of a megamouth shark, Megachasma pelagios, from Hakata bay, Japan, with a comparison of the intestinal structure of other planktivorous elasmobranchs. Biology of the Megamouth Shark 105-113.

 

4. 報告

H97001: 安澄文興, 新屋雄二, 中村信之, 黄集前, 栗原一茂 (1997) 精巣輸出管の形態と機能の再考. Acta Anat Nippon 72 49.

 

H97002: Huang J Q, Kurihara K, Yasuzumi F (1997) Sexual maturation of efferent ductules in Wistar rat. Acta Anat Nippon 72 351.