精神衛生学教室

 

A.研究課題の概要

 

1.沖縄の社会文化的環境と精神衛生(石津宏,他)

 本研究は,沖縄のユニークな社会文化的環境のおよぼす精神衛生学的な意味について,各方面からの研究を行おうとするものである。

1) 沖縄における疾病意識の構造と疾病様態について。

2) 沖縄における心身症・神経症のプライマリ・ケアの様態。

3) 沖縄における死生観,宇宙観と県民性にみる精神衛生学的有意性。

 

2.心身医学とprevention for health, health promotion (石津宏,他)

 本研究は,心身医学に基づいた心身の健康の保持,増進について,疾病の予防と健康増進について,疾病の予防と健康増進医学に寄与する方略をさぐるものである。

1) 自律訓練法における研究。

2) bio-psycho-socio-ethical ecological approachesに関する研究。

3) human sexualityに関する研究。

 

3.精神障害者への認知,態度に関する国際比較研究(名嘉幸一,他)

 精神病および精神障害者に対する態度(Attitude)研究は,その社会における社会的通念や偏見,ステレオタイプの検討に有用であるだけでなく,精神障害者に対する医療・サービス,関係者の教育・訓練を考慮する際にも無視することのできない領域である。当教室におけるこれまでの研究としては,高校教師と精神衛生専門職(精神科医,臨床心理学者,ソーシャルワーカー,看護者等)を対象に,カナダと日本,オーストラリアの比較研究を試みてきた。これら成果の一部カナダと日本の高校教師と看護者の国際比較については,1993年度世界精神衛生会議(World Congress for Mental Health)において発表し,論文にまとめた(Ryukyu Med. J., 15(4), 1996)。

 

4.精神障害者の援助希求過程に関する研究(名嘉幸一,他)

 精神障害の発生に伴う患者と家族の対処行動(Coping behavior, help-seeking behavior)を明らかにすることは,精神障害の治療とサービス,とりわけ地域の精神衛生サポートネットワークを考える際に有効である。本研究は,これまで主として記録と面接に依拠したretrospectiveな調査が中心であったが,今後はprospectiveな調査方法をも工夫していくつもりである。これまでに得られた成果については,すでに沖縄心理学会,日本民族衛生学会沖縄地方会,世界精神衛生会議(ニュージーランド,メキシコ),分裂病に関する国際カンファレンス(International Conference「schizophrenia 1992」(カナダ) )等で発表済みである。また一部は論文として公刊した(Ryukyu Med. J., 15(4), 1996)。

 

5.沖縄の自殺に関する研究(名嘉幸一,他)

 自殺死亡率と社会環境との関連を明らかにすることは,予防医学,社会精神医学的に重要な課題である。本テーマに関しては,過去の沖縄の自殺死亡率の変動について,主として人口動態統計学的に種々の統計的観察を行ってきた。今後はさらにその増減要因(コホート要因,精神障害との関連等)の解明に向けた研究をすすめていく予定である。これまでの成果については,日本自殺予防学会,沖縄心理学会,日本社会精神医学会において報告し論文としても発表してきた(日社精医誌 3:25-32,1994, Psychiatry and Clnical Neurosciences 50:239-242, 1996)。

 

 

B.研究業績

1.原著

G9601: Kageyama T, Naka K (1996) Longitudinal change in youth suicide mortality in Okinawa after World War?: A comparative study with mainland Japan. Psychiatry and Clinical Neurosciences 50 239-242.

 

G9602: 糸光代, 與古田孝夫, 石津宏 (1996) 中学生のいじめの状況と学校適応状況との関連について−鹿児島県鹿屋市内5中学の調査結果から. 沖公衛誌 27 69-72.

 

G9603:田口寿恵, 與古田孝夫, 石津宏 (1996) 大学生の飲酒状況とそ関連要因についての検討−琉球大学学生の調査結果から. 沖公衛誌 27 73-76.

 

G9604: 照屋淳, 與古田孝夫, 石津宏 (1996) 若者の痴呆老人に対する介護意識と介護関連要因についての検討−琉球大学学生, 医療・福祉系専門学校生へのアンケート調査から. 沖公衛誌 27 77-80.

 

G9605:宇良俊二, 與古田孝夫, 名嘉幸一, 石津宏, 松岡洋一 (1996) AIDSに対する意識ならびに態度に関する精神衛生学的検討. 琉球大学附属保健管理センタ−所報第19号 55-58.

 

4.報告

H9601: 田中聡一郎, 與古田孝夫, 石津宏, 仲本政雄 (1996) 不安発作をともなう双極性気分障害(MDI)患者の再発をめぐる考察−沖縄の社会文化的環境と精神衛生(13). 第35回日本心身医学会九州地方会抄録集51.

 

H9602: 石津宏, 田中聡一郎, 與古田孝夫, 名嘉幸一, 比嘉盛吉, 吉田延 (1996) 家族性にみられた急性発作性緑内障と心気・抑うつ症状の1症例−沖縄の社会・文化的環境と精神衛生 (14). 第35回日本心身医学会九州地方会抄録集51.

 

H9603: 田中聡一郎, 與古田孝夫, 石津宏, 大仲良一, 仲本政雄 (1996) Depression患者の軽症・慢性化要因に関する心身医学的検討. 第35回日本心身医学会九州地方会抄録集68.

 

H9604: 櫻庭繁, 柳橋雅彦, 與古田孝夫, 金子さなえ, 古関啓二郎, 野田慎吾, 佐藤甫夫 (1996) 自殺企図と精神障害−大学病院外来調査からの検討. 第16回日本社会精神医学会総会抄録集134.

 

H9605: 石津宏, 名嘉幸一, 與古田孝夫 (1996) 沖縄における地域住民の疾病意識と社会文化的背景 ことに心身の不調と民間信仰をめぐって−沖縄の社会文化的環境と精神衛生(15). 精神経誌98 1074.

 

H9606: 石津宏, 與古田孝夫, 名嘉幸一, 比嘉盛吉, 新里里春, 大仲良一, 吉田延 (1996) 情緒不安定性人格(境界型)とhysterische Psychopathie von Konuma に関する精神病理学的考察について−頻回な自傷・自殺企図を衝動的にくりかえし, 多彩な心身の症状を呈した症例を通して. 第37回日本心身医学会総会抄録集112.

 

H9607: 平安良次, 與古田孝夫, 名嘉幸一, 石津宏, 秋坂真史 (1996) 県内百歳老人の知的機能と日常生活活動能力の検討. 第24回日本民族衛生学会沖縄地方会抄録集4.

 

H9608: Ishizu H, Yokota T, Shimoji T, Takaesu N, Sobajima K, Ishimine I, Hirayasu R, Naka K, Higa S, Nakamoto M, Yoshida N (1996) A Traial of Survey about ''S'' (The Concept of the Whole Self with Ecological Viewpoint Proposed by Professor Yujiro Ikemi) on T.A. in Japan. The1996 International Transactional Analysis Conference, Proceedings 39.

 

H9609: Ishizu H, Ura S, Shimoji M, Yokota T, Naka K, Higa S, Shimoji T, Yoshida N (1996) Consciousness of and Attitude toward AIDS among College Students in Okinawa: Mental Health and Psychosomatic Viewpoints. The 7th Congress of Asian Chapter of the International College the Psychosomatic Medicine, Proceedings 12-13.

 

H9610: 喜屋武盛和, 陳文杰, 宇良俊二, 與古田孝夫, 名嘉幸一, 比嘉盛吉, 仲本政雄, 石津宏 (1996) 自律訓練法ならびに気功で得られた心理・生理的変化の検討. 第19回日本自律訓練学会抄録集29.

 

H9611: 宮國直子, 赤嶺鈴佳, 與古田孝夫, 石津宏 (1996) 地域住民の死生観とその関連要因についての検討. 第28回沖縄県公衆衛生学会抄録集36-37.

 

H9612: 森田真知子, 與古田孝夫, 石津宏 (1996) 学校教員の不適応徴候とそれに及ぼす諸要因についての検討. 第28回沖縄県公衆衛生学会抄録集42-43.

 

H9613: 照屋淳, 豊村朝春, 福島裕人, 名嘉幸一, 與古田孝夫, 石津宏 (1996) 当院における看護従事者のバーンアウト要因に関する調査−MBI(Maslach Burnout Inventory) を用いて.第28回沖縄県公衆衛生学会抄録集44-45.

 

H9614: 赤嶺鈴佳, 宮國直子, 與古田孝夫, 石津宏 (1996) 大学生の自殺に対する意識と死生観との関連について. 第28回沖縄県公衆衛生学会抄録集46-47.

 

H9615: 佐々木昭彦, 内山巌雄, 門司和彦, 竹本泰一郎, 名嘉幸一 (1996) 病院の空調設定と患者の温冷感・適応行動.第69回日本産業衛生学会講演集.産衛誌38巻569.

 

H9616: 佐々木昭彦, 内山巌雄, 門司和彦, 名嘉幸一 (1996) 病院空調への適応行動に対する疾病と介助レベルの影響.第55回日本公衆衛生学会総会抄録集439.