高気圧治療部

 

A. 研究課題の概要

1.中枢神経系障害に対する高気圧酸素の影響(野原敦、湯佐祚子)

 急性減圧ラット脳で血液脳関門、微小循環及び組織学的変化を経時的に減圧直後より72時間後まで検討した結果、急速減圧直後での血液脳関門の破綻、微小循環障害と組織学的変化は24時間迄は軽減するが、72時間後に再発しmaturation phenomenonが示唆された。高気圧酸素の影響は血液脳関門の破綻は消失したが、微小循環障害は残存することを報告した。

 

2.間歇的高気圧酸素暴露が生体に及ぼす効果(井上治)

 長期の間歇的高気圧酸素暴露(以下、酸素暴露)が健常な生体に及ぼす効果を成長期ビーグル犬を用いて血液学的に観察した。血糖や脂質、末梢血像、肝腎機能、血液凝固能などに異常はみられなかったが、PHAとCD4/8による細胞性免疫能検査では酸素暴露(2ATA,60min / day)は長期(3カ月以上)で免疫能の低下を引き起こすことが判明した。高気圧酸素療法の免疫抑制剤としての適応の可否をみるため実験を行っている。

 

3.フリーラジカル発生と高気圧酸素の影響(砂川昌秀、野原敦、湯佐祚子)

 循環動態に影響しないエンドトキシン量投与により発生するNOに及ぼす高気圧酸素の影響を血中硝酸、亜硝酸を測定してラットで検討した結果、発生NOと高分圧酸素との反応の可能性が示唆されたため、活性酸素とNOの相互作用について検討を進めている。

 

4.高気圧酸素療法(HBO)の新しい適応疾患の開拓(湯佐祚子)

 1) 高気圧酸素の生理学的作用より考えて従来の適応疾患以外の治療にも利用出来ると考え、現在迄に突発性難聴、種々の原因による黄斑浮腫、radiation cystitis の症例に対すHBOの効果を報告したが、現在 radiation colitis、クローン病に対する効果を検討している。

 

 

B.研究業績

1.原著

G96035: 寺田泰蔵, 平良豊, 湯佐祚子, 比嘉政人, 伊波寛, 奥田佳朗 (1996) 座位胸部硬膜外ブロックにより空気塞栓を起こした1例. pain Clinic 17 720-724.

 

G96036:井上治 (1996) 大腿骨近位および臼蓋部悪性腫瘍に対する hip rotation-plasty. 関節外科 15(1) 94-103.

 

G96037: 井上治, 島袋博之, 新垣宜貞, 半澤浩明, 茨木邦夫 (1996) 骨盤臼蓋部あるいは仙腸部悪性腫瘍に対する患肢温存手術. 整災外 39(6) 639-647.

 

G96038: 半澤浩明, 井上治, 新垣宜貞, 島袋博之, 茨木邦夫 (1996) 膝関節に発生した滑膜性血管腫の2例. 整外と災外 45(1) 297-302.

 

G96039:半澤浩明, 井上治, 新垣宜貞, 大城亙, 島袋博之, 茨木邦夫 (1996) 脛骨に転移を来したMerkel細胞癌の1例. 整外と災外 45(3) 905-909.

 

3.著書

T96004: 湯佐祚子 (1996) 脊椎手術の麻酔での一般的注意点. In 花岡一雄 Ed. 臨床麻酔のコツと落し穴, Part II, 中山書店, 東京, 178-179.

 

T96005: 湯佐祚子 (1996) 口唇裂, 口蓋裂手術の麻酔. In 花岡一雄 Ed. 臨床麻酔のコツと落し穴, Part II, 中山書店, 東京, 213.

 

4.報告

H96058: 湯佐祚子 (1996) 前脳虚血-再灌流の脳血流量及びglutamate遊離に及ぼす影響とnitric oxideの関与について. J Anesth 10 521.

 

H96059: 野原敦, 湯佐祚子 (1996) 中枢性酸素中毒に及ぼす活性酸素とNitric Oxideの影響. 日高圧医誌 31 33.

 

H96060: 井上治, 半澤浩明, 六角高祥, 我謝猛次, 茨木邦夫, 湯佐祚子 (1995) 長期・間歇的高気圧酸素暴露が成長期ビーグル犬の血液性状や免疫能に及ぼす効果. 日高圧医誌 31 34.

 

H96061: 湯佐祚子 (1996) シンポジウムII"高気圧酸素療法の患者管理技術と安全", I.重症患者管理(第2種). 日高圧医誌 31 21.

 

H96062: 上運天均, 小笠原隆行, 徳嶺譲芳, 大見謝克夫, 伊波寛, 湯佐祚子, 奥田佳朗 (1996) 頚動脈血行再建術において脳血流の判定にTranscranial Dopplerが有用だった一症例. 日臨麻誌 16 S290.

 

H96063: 渕辺誠, 湯佐祚子, 渕上竜也, 富村賢志 (1996) 貯血式自己血輸血症例の検討. 日臨麻誌 16 S253.

 

H96064: 井上治, 新垣宜貞, 半澤浩明, 新垣薫, 島袋博之, 金谷文則, 茨木邦夫 (1996) 当科における下肢長管骨および腸骨原発性悪性腫瘍に対する患肢温存手術. 日整会誌 70(2) S700.

 

H96065: 井上治, 新垣宜貞, 半澤浩明, 大城亙, 岳原吾一, 島袋博之, 茨木邦夫 (1996) 小児期に患肢温存手術として施行されたRotation-plasty などのQ.O.L の検討. 日整会誌 70(6) S1034.

 

H96066: 井上治, 半澤浩明, 城間隆史, 池間康成, 茨木邦夫 (1996) 長期・間歇的高気圧酸素暴露が成長期ビーグル犬の骨成長に及ぼす効果. 日高圧医誌 31 35.

 

H96067: 半澤浩明, 井上治, 新垣宜貞, 大城亙, 岳原吾一, 島袋博之, 茨木邦夫 (1996) 踵部に発生したMelanocytic Clear Cell Sarcoma の1例. 日整会誌 70(6) S1119.

 

5.その他

M96011: Yusa T (1996) Effects of ischemia-reperfusion and nitric oxide synthase (NOS) inhibition on cerebral blood flow (CBF) and glutamate release. 11th Word Congress of Anaesthesiologists. April 14-20, Sydney, Australia.

 

M96012: 湯佐祚子 (1996) 急速減圧時発生気泡による脳障害と高気圧酸素の影響. 平成6-平成7年度科学研究費補助金(一般研究C)研究成果報告書.