環境保健学

 

A.研究課題の概要

1.インドネシアの蚊の調査、とくに媒介蚊の発生

 文部省国際学術研究助成によりインドネシアのスラヴェシ島、マルク諸島、西イリアンおよびスマトラ島で蚊の生息状況や蚊相の特徴を調べると共にマラリア伝搬蚊について調査を行った。その結果、ギンモンカ属の蚊の新種を発見、Topomyia irianensisと命名し、米国の専門誌(Mosquito Systematics)に投稿中である。

 

2.フィリピン、タイ、マレーシアの蚊科に関する研究

 1981〜85年にかけて文部省国際学術研究助成により3国で蚊の調査を行い、多くの標本を教室へ持ち帰っており、それらの蚊の検索を現在行っている。

 

3.ラオス国、カムアン県におけるマラリア媒介蚊の生態学的研究

 日本国際協力事業団(JICA)のラオス公衆衛生プロジェクトの一環としてビエンチャンの国立マラリア・寄生虫・医昆虫研究所(IMP)に所属する研究者への技術移転のためにカムアン県の3部落でマラリア媒介蚊の生態調査を1996年5月9日から5月29日まで行った。その結果は長崎市で開催された第14回国際熱帯医学マラリア学会でポスターセッションで発表した。

 

4.琉球列島産同胞種群の分子生物学的研究

 文部省在外研究員として米国コロラド州のCDC(Centers for Disease Control)で研修中で、蚊科の同胞種群(Sibling species)の分子生物学的手法による分類学的研究を実施中である。沖縄産蚊の同胞種群のrDNA遺伝子群のITS1とITS2の塩基配列を調べ、比較検討がなされている。

 

5.室内塵中のダニと気管支喘息

 気管支喘息をはじめアレルギーの症状をもつ場合に、就寝中、寝具からのダニアレルゲン曝露の重要性が指摘されている。当研究室では、喘息患児の寝室の布団および床のダニ数と喘息症状の推移を2年間追跡することで、電気掃除機によるダニ除去の有効性を検討した。さらに、ダニアレルゲンに感作されないための掃除方法をマニュアル化することを目的として、寝室でのダニ除去の床材や寝具の素材、掃除機の吸い込み仕事率、掃除機の先端につけるノズルの違いによって、ダニ除去効果に違いがあるかどうかも検討した。

 

6.西原町における井戸水の有効利用とその水質

 本調査は沖縄県衛生環境研究所との共同研究で、井戸の構造や使用状況、水質を明らかにし、水の有効利用に関する資料を得る目的で平成8年4月より実施中である。方法としては井戸を所有する家を対象にアンケートを実施、また、西原町の地質分布をもとに37地区に分け、年3回の割合で水質検査を行う。

 

 

B.研究業績

1.原著

G96143: Mogi M, Miyagi I, Abadi K, Syafruddin (1996) Inter- and intraspecific variation in resistance to desiccation by adult Aedes (Stegomyia) spp. (Diptera: Culicidae) from Indonesia. J Med Entomol 33 53-57.

 

G96144: Mogi M, Miyagi I, Toma T, Hasan M, Abadi K, Syafruddin (1996) Occurrence of Aedes (Stegomyia) spp. mosquitoes (Diptera: Culicidae) in Halmahela villages, Indonesia. J Med Entomol 33 169-172.

 

G96145: Toma T, Miyagi I, Wabyahe L M M et al (1996) Distribution and seasonal prevalence of the malaria vector mosquito, Anopheles minimus in Ishigaki Is., Ryukyu Archipelago, Japan, 1990-1994. Med Entomol Zool 47 63-72.

 

G96146: Toma T, Miyagi I, Takagi M, Tsuda Y (1996) Survey of Anopheles minimus immatures in Miyako Island, Ryukyu Archipelago, Japan, 1991 and 1995. Med Entomol Zool 47 167-170.

 

G96147: 岸本眞知子, 長間つくみ, 當間孝子, 宮城一郎 (1996) 沖縄県の気管支喘息児家屋における室内塵中のダニ調査. 日本小児アレルギー学会誌 10 60-66.

 

G96148: 小杉忠誠, 花城和彦, 山下晋, 玉城昇, 宮城一郎, 當間孝子 (1996) 亜熱帯地域のI型アレルギー疾患の特性. アレルギーの領域 3 84-88.

 

G69149: Wada Y, Miyagi I, Takagi M, Tsuda Y (1996) An annotated list of Culicoides biting midges in Yaeyama Islands in the Southwestern part of Japan (Diptera: Ceratopogonidae). Trop Med 38 61-68.

 

G96150: 武田富美子, 當間孝子, 宮城一郎, 岸本眞知子 (1996) 沖縄市での3歳児健診におけるアレルギー疾患の実態. 日本公衆衛生雑誌 43 1024-1032.

 

4. 報告

H96151: 宮城一郎 (1996) 蚊科の形態・分類学的研究は『東南アジアのミニチュア版・琉球列島の蚊相』の研究から. 衛生動物 47 26.

 

H96152: 比嘉由紀子, 當間孝子, 宮城一郎 (1996) 異なる餌量・飼育密度条件下におけるAn. s. saperoi幼虫の発育. 衛生動物 47 32.

 

H96153: 當間孝子, 宮城一郎, 武居厚子 (1996) 石垣島産コガタハマダラカ Anopheles minimus幼虫の室内における飼育条件の検討. 衛生動物 47 32.

 

H96154: Ishak H, Miyagi I, Toma T, Kamimura K (1996) Breeding habitats and abundance of Ae. aegypti (L.) and Ae. albopictus (Skuse) in rural areas of Barru, S. Sulawesi, Indonesia. Jpn J Sanit Zool 47 34.

 

H96155: 武田富美子, 當間孝子, 宮城一郎, 岸本眞知子 (1996) 掃除機を使って1年間ダニ除去を試みた布団のダニ数変化について. 衛生動物 47 61.

 

H96156: 宮城一郎, 當間孝子, 玉城美加子 (1996) 沖縄産ハマダラカ属の蚊3種のネズミマラリア原虫Plasmodium yoelii nigerienseに対する感受性実験. 衛生動物 47 204.

 

H96157: 比嘉由紀子, Malenganisho W L M, 宮城一郎, 當間孝子 (1996) Anopheles saperoiの幼虫飼育法の検討. 衛生動物 47 205.

 

H96158: 武田富美子, 當間孝子, 宮城一郎 (1996) 採集時間とダニ収量の関係について. 衛生動物 47 205.

 

H96159: 當間孝子, 宮城一郎 (1996) 最近の宮古島のコガタハマダラカ Anopheles minimus幼虫の生息状況. 衛生動物 47 205.

 

H96160: Mogi M, Miyagi I, Toma T (1996) Feasibility of using outdoor light-trapping in malaria vector surveillance. Jpn J Trop Med Hyg 24 55.