保健社会学教室

 

A.研究課題の概要

1.高齢者の保健福祉に関する社会文化的研究(崎原盛造 當銘貴世美)

 社会の高齢化に伴う保健福祉問題の重要な側面は、第1にいかに健康で長寿を実現するかであり、第2にいきがいのある高齢者生活をいかに支援するかである。とくに日本一長寿県である沖縄においては、長寿要因を解明するために医学的側面、心理学的側面そして文化社会的側面から学際的にアプローチする必要がある。本教室では沖縄の長寿要因を解明するための社会学的研究ならびに自立的で生きがいのある在宅ケアシステムを確立するための理論と方法を探求する研究をすすめており、1)高齢者のソーシャルサポート測定尺度の開発、2)在宅老人に対する介入実験、3)生活満足度、社会活動能力、生きがい、ライフスタイル、自立志向度等に関するフィールド調査を実施し比較研究を継続中である。

 

2.保健医療に関する社会学的研究(崎原盛造 當銘貴世美)

 臨床の場や地域における保健医療問題に関する社会学的研究は、離島における受療行動から臓器移植に関わる問題まで多岐にわたっており、従来から健康教育、受療行動、喫煙行動、飲酒行動および伝統医療に関する課題に取り組んでおり、女性の乳がん検診受診行動と思春期における精神的健康問題に関する研究を現在行なっている。

 

3.戦後沖縄の保健医療史に関する研究(崎原盛造)

 沖縄の医療史については、まだ盛書がなく、不明な事項が多い。本研究室では特に第2次世界大戦後の医療史を中心に研究をすすめており、本年度は沖縄における保健医療の特性を総括するとともに、マラリアとフィラリア症に関する対策史をまとめた。

 

4.長寿要因に関する社会文化的研究(崎原盛造 當銘貴世美)

沖縄の長寿に関する関連要因を解明するための研究をすすめているが、本年度はとくに風土と長寿の関連について研究グループを編成して研究に着手している。

 

 

B.研究業績

1.原著

G96001: 石川りみ子 崎原盛造 當銘貴世美 仲里幸子 (1996) 脳卒中後遺症をもつ患者の退院・転院3カ月時点のADL 改善とその関連要因. 日本公衆衛生雑誌 43(5) 354-364.

 

G96002: 仲田奈々子 佐藤弘明 崎原盛造 大塚柳太郎 (1996) 沖縄県の長寿村における大正・昭和初期の食生活の復元と栄養素摂取量の推定. 民族衛生 62(4) 208-217.

 

G96003: 高倉 実 新屋信雄 平良一彦 崎原盛造 (1996) 高校生の抑うつ症状と健康習慣との関連性について. 学校保健研究 38(4) 335-345.

 

3.著書

T96001: 崎原盛造 郡司篤晃 (1996) 沖縄の保健医療の特性, 永盛 肇編「沖縄の疾病とその特性」所収, 九州大学出版会, 21−40.

 

T96002: 崎原盛造 平良一彦 (1996) 沖縄におけるマラリア・フィラリア対策史, 永盛 肇編「沖縄の疾病とその特性」所収, 九州大学出版会, 211-229.

 

T96003: Nishi K, Sakihara S (1996) A Comparison of Life Satisfaction of the elderly in Okinawa and Okinawans in Hawaii. Sociology of Aging. International Perspective, by V. Minichiello, N. Chappell, H. Kendig, A. Walker (Eds.), International Sociological Association,, 482-487.

 

4.報告

H96001: 崎原盛造 (1996) 沖縄の保健医療制度史試論, 琉球大学医学部附属地域医療研究センター 第2回地域医療研究センターセミナー「沖縄の歴史と医療史ーそして未来へ」 那覇市.

 

H96002: 高倉 実 平良一彦 新屋信雄 崎原盛造 三輪一義 (1996) 高校生の抑うつ症状と心理社会的関連要因. 第55回日本公衆衛生学会総会 大阪 抄録集 585.

 

H96003: 當銘貴世美 崎原盛造 芳賀 博 安村誠司 柴田 博 (1996) 在宅高齢者への介入研究の効果−活動能力の側面から−. 日本老年社会科学会第38会大会 岡山 報告要旨集 102.

 

H96004: 崎原盛造 (1996) 地域医療における医介輔の活用ー沖縄の経験. 小野寺伸夫編「保健医療分野における開発途上国人材の研修に関する研究」, 平成7年度研究報告.

 

5.その他

M96001: 崎原盛造 (1996) 保健学教育の現状と将来. 民族衛生 62(2)39〜40(巻頭言).

 

M96002: 與儀 司 (1996) 在宅高齢者の社会活動能力および生活満足度に対する介入プログラムの効果. 平成7年度修士論文. (指導:崎原盛造).