保健医学講座

 

A.研究課題の概要

1.物理的環境刺激の生体影響

 振動・騒音等の物理的環境因子は、職域あるいは日常生活の中においても重要な健康影響因子として注目されている。手持ちの振動工具の長年の使用によって引き起こされる振動障害は未だに職業病としての意義が大きい。また、重機等の操縦者にも全身振動の負荷による脊椎への影響を始めとした障害が認められる。騒音による影響も種々報告されており、また従来耳には聞こえないとされていた低周波数域の空気振動も問題視されているように種々な新しい環境刺激に対応するためにも基礎的検討が肝要である。

 

2.環境刺激の複合影響に関する評価法の検討

 振動と騒音とは共存する場合が多いが、両者が同時に生体に作用した際に、騒音の影響が振動に一部マスクされることが知られている。異なる環境因子が同時に負荷された際の影響を、それぞれの単独暴露の場合と比較しつつ、複合暴露の際の影響発現の様式を、刺激強度と反応の程度から追究することが必要である。

 

3.個人及び集団におけるライフスタイルの地域較差に関する調査研究

 生体内の栄養成分の地域較差について摂取栄養素成分及び栄養調査の結果と併せて、がんなどの疾病の死亡率の地域較差との相関性について検討する。

 

4.地域的特性を考慮に入れた新規栄養調査法の開発とその応用

栄養素成分の疾病に対するリスク評価を行うため、食物摂取の定量的把握の可能な栄養調査法の妥当性の研究を行っている。

 

5.沖縄県の疾病構造に関する研究

 沖縄県は、気候風土、文化など他府県とは異なっており、疾病構造においても肺がんによる死亡が高く胃がんによる死亡が低いなどの特徴を有する。これらのことについて、地理病理学的な観点も含め、広く調査研究を行い、公衆衛生学上の諸課題に取り組んでいる。

 

6.国際保健医療協力に関する研究

琉球大学医学部は、平成4年からラオス国に対する医療協力を進めているところであるが、本講座においてはプライマリーヘルスケアシステムづくりを担当し、そのための専門家をラオス国に派遣した。 保健・医療・福祉の面からラオス国の発展に寄与すべく鋭意努力している。

 

B.研究業績

1.原著

G96001: Tsuchiya H, Yamada K, Todoriki H, Hayashi T (1996) Urinary excretion of tetrahydro-beta-carbolines influenced by food and beverage ingestion implies their exogenous supply via dietary sources. J Nutr Biochem 7 237-242.

 

G96002: 新城安哲, 富原靖博, 新城正紀, 有泉誠 (1996) 沖縄県における海洋性危険生物による被害. 沖縄県立芸術大学紀要 4 127-139.

 

G96003: Almansouri HMSH, Yamamoto S, Kulkarni AD, Ariizumi M, Adjei AA, Yamauchi K (1996) Effect of dietary nucleosides and nucleotides on murine allergic rhinitis. Amer J Med Sci 312 202-205.

 

G96004: Adjei AA, Morioka T, Ameho CK, Yamauchi K, Kulkarni AD, Almansouri HMSH, Kawajiri A, Yamamoto S (1996) Nucleoside-nucleotide free diet protects rat colonic mucosa from damage induced by trinitrobenzene sulphonic acid. Gut 39 428-433.

 

G96005: Adjei AA, Yamauchi K, Almansouri HMSH, Chan YC, Kulkarni AD, Konnishi M, Yamamoto S (1996) Dietary nucleosides and nucleotides improve cell-mediated immunity in mice. J Nutr Immu 4 23-35.

 

G96006: Tohyama E (1996) Relationship between fluoride concentration in drinking water and mortality rate from uterine cancer in Okinawa prefecture, Japan. J Epidemiol 6 184-191.

 

G96007: 遠山英一 (1996) 沖縄県の非石灰岩地域から導水される飲料水の水質構造. Ryukyu Med J 16 37-41.

 

3.著書

T96001: 有泉誠 (1996) 衛生統計からみた沖縄県の疾病構造の変遷. 琉球大学医学部附属地域医療研究センター, 沖縄県の疾病とその特性, 中野三敏, 福岡, 13-19.

 

T96002: 新城安哲, 富原靖博, 有泉誠 (1996) 沖縄における海洋性有害生物とその被害. 琉球大学医学部附属地域医療研究センター, 沖縄県の疾病とその特性, 中野三敏, 福岡, 197-210.

 

4.報告

H96001: Todoriki H, Ariizumi M, Tsugane S, Akabane M, Watanabe S (1996) The relationship of serum amino acids and blood pressure: A study on five population in Japan. The XIV International Scientific Meeting of the International Epidemiological Association(Abstracts) 161.

 

H96002: 等々力英美, 有泉誠, 津金昌一郎, 赤羽正之, 渡辺昌 (1996) 5県地域住民の血清アミノ酸値と摂取栄養素との関係. 日衛誌51 380.

 

H96003: 等々力英美, 有泉誠, 津金昌一郎, 渡辺昌 (1996) 5県地域住民の血清アミノ酸値とBody Mass Indexとの関係 −血圧との関連を中心にして−. J Epidemiol (Suppl) 100.

 

H96004: 比嘉政昭, 沖山隆雄, 宮里達也, 東朝幸, 国仲匡, 上原隆, 大野惇, 宮国毅, 新城正紀, 有泉誠 (1996) 沖縄県内歯科診療機関におけるHIV感染予防体制. HIVの疫学と対策に関する研究−研究報告書(厚生科学研究費HIV疫学研究班) 693-698.

 

H96005: 松本孝朗, 山内正毅,田井村明博,李丁範,小坂光男,新城正紀,鄭奎城,Anchalee P, Chuucheep P, Sumittra G, Udom B (1996) 熱帯・亜熱帯地住民にみられる長期暑熱順化. 共同研究報告集 長崎大学熱帯医学研究所 138.

 

H96006: 仲田美百合, 平良悦子, 玉城さえ子, 上地悦子, 新城正紀 (1996) 入院患者をもつ母親の不安. 九州地区看護研究学会集録 鹿児島県看護協会 10-12.

 

H96007: 小川寿美子 (1996) District Health Care Structureシステムビルディングのステップ―Health Care Delivery System BuildingからみたPrimary Health Care items 戦略マニュアル―. 開発途上国における地域保健医療システムの強化に関する研究班「地域保健医療システムの財政管理に関する研究」分担研究報告集 国際医療協力研究委託事業 48-63.

 

H96008: 小川寿美子 (1996) 各論−ラオス人民民主共和国, 開発途上国の母子保健. 厚生省開発途上国における母子保健に関する研究班 最終報告書 102-108.

 

H96009: 天野博之, 小川寿美子 (1996) JICA医療協力プロジェクト・ラオス公衆衛生−包括的PHCシステムモデルをめざして− 国際看護, 国際看護交流協会 3.

 

H96010: 小川寿美子 (1996) 発展途上国における医療資源の現状とその確保手段 「QOL測定とその評価」 第1回連合大会会報.

 

H96011: 馮坤範, 等々力英美, 有泉誠, 佐藤良也 (1996) 騒音暴露による免疫系機能変化−リンパ球系の反応. 日公衛誌43 607

 

5.その他

M96001: 等々力英美, 田崎陽子 (1996) 独特の食生活に長寿の秘訣あり. 暮らしと健康51 28-31.