臨床検査医学講座


A.研究課題の概要

 1. 沖縄県における長寿要因の解析(玉元, 戸田)
 沖縄県の本島北部地域の健常成人を対象として動脈硬化との関連が注目されているLp(a)について検討した。検体は217名の健康人から血清を採取し, サンドイッチELISAでLp(a)値を測定した。 Lp(a)値の平均値は20.7mg/dlであり, 日本の他の地域のLp(a)の値よりも高かった。血清Lp(a)値, コレステロール値, トリグリセリド値, 年齢, 性差との関連性は認められなかった。今後検討地域を拡大し, Lp(a)のフェノタイプも検討する予定である。
 2. 鳥類モデルにおける実験的粥状硬化症の研究(Sadi, 喜友名, 戸田)
 通常ウズラに2%のコレステロールを含有する飼料を3ヶ月投与し, 体重100gあたり4mgの20-メチルコラントレンを毎週1回計12回皮下に注射することにより, 粥状硬化病変が惹起されることが確認された。 さらに同様の病変がニワトリに惹起される条件を検討中である。
 3. 院内感染 (草野展周)
 院内感染において重要なMRSAの琉球大学附属病院における分離状況および薬剤感受性の変化を調査し, 報告している。 また, 院内感染対策として病棟における汚染状況や消毒法の検討なども行っている。
 4. 細菌の薬剤耐性とその疫学(草野展周)
 各種臨床材料から分離される細菌における薬剤耐性の変化を調査している。 近年はβーラクタム系薬剤の多くに高度耐性を示すグラム陰性菌(特に緑膿菌)の分離が増加しており, カルバペネム系抗菌薬にも耐性を示す株が分離されている。また, ペニシリン耐性肺炎球菌の増加は著明であり, 耐性機序としてのPBPの変化について各種抗菌薬の影響や遺伝子レベルでの変化をPCRを用いて検討を行っている。
 5. 口腔内常在菌の呼吸器感染症における重要性の検討(草野展周)
 口腔内常在菌であるStreptococcus milleri groupは呼吸器感染症の重要な起炎菌であるが, その病原因子および嫌気性菌との相乗作用について, ヒト炎症細胞への直接的影響やマウス肺炎モデルにおける感染実験などで検討を行っている。
B.研究業績
 1. 原著
G95T01: Shimizu M, Inaba K, Yoshida T, Toda T, Iwashima A, Mitsunaga T (1995) Purification and properties of thiamine- Plant binding properties from sesame seed. Physiol 93 93-98.
G95T02: Toda T, Oku H (1995) Effect of medium-chain fatty acids on cholesterolemia and atherosclerosis in Japanese quails. Nutr Res 15 99-113.
G95T03: Inoue Y, Toda T, Igawa T, Tani T, Kimura Y (1995) The response of serum and hepatic lipids and the aortic wall to different levels of dietary cholesterol: A comparative study between hyperlipidemia- and -atherosclerosis-prone quail and commercially available quail. Tohoku J Exp Med 175 1-13.
G95T04: 永田純一, 屋宏典, 戸田隆義, 知念功, 大関正直 (1995) 大豆由来高食物繊維素材の物理的特性とラット脂質代謝へ及ぼす影響. 日栄・食糧会誌 48 133-139.
G95T05: 新垣宜貞, 井上治, 島袋博之, 上里智美, 茨木邦夫, 戸田隆義, 喜友名正也 (1995) 股関節に発生した滑膜性骨軟骨腫症の3例. 整外と災外 44 472-476.
G95T06: Sadi AM, Toda T, Kiyuna M, Tamamoto T, Ohshiro K, Shinzato R (1995) An autopsy case of malignant lymphoma with Lyell's syndrome. J Dermatol 22 594-599.
G95T07: 百次仁, 島袋洋, 比嘉司, 戸田隆義 (1995) 稀な肝細胞癌の頭蓋骨転移の1例. 脳神外科 23 997-1002.
G95T08: Miyazato H, Yamada M, Tamai O, Matsumoto M, Shiraishi M, Kusano T, Muto Y, Kiyuna M, Toda T, Nakasone K (1995) Primary amelanotic melanoma of the anorectum: A case report and literature review. Ryukyu Med J 15 147-151.
G95T09: Toda T, Tamamoto T, Sakugawa H, Yamashiro T, Nagata T, Yamashiro A (1995) Epidemiological study of lipoprotein(a) in Okinawa. Acta Med Nagasaki 40 30-37.
G95N01: Bi H, Saito A, Koide M, Ishimine T, Futenma M, Yamashiro Y, Kusano N, Kawakami K (1995) Detection of Mycobacterium tuberculosis in clinical specimens by polymerase chain reaction method. 感染症誌 69 272-279.
G95N09: 池本秀雄, 渡辺一功, 森健, 斎藤厚, 草野展周, 他47名 (1995) 呼吸器感染症患者分離菌の薬剤感受性について(1990年). Jpn J Antibiot 48 887-920.
G95N10: 池本秀雄, 渡辺一功, 森健, 斎藤厚, 草野展周, 他47名 (1995) 呼吸器感染症患者分離菌の薬剤感受性について(1991年). Jpn J Antibiot 48 965-998.
G95N11: 我謝道弘, 健山正男, 稲留潤, 普久原浩, 斎藤厚, 草野展周 (1995) 呼吸器感染症に対するpazufloxacinの基礎的ならびに臨床的検討. 日化療会誌 43(S-2) 310-314.
G95N13: 仲宗根勇, 草野展周, 外間政哲 (1995) 臨床材料からの緑膿菌複数分離例についての基礎的検討 -血清型, 酵素産生, 薬剤感受性について-. 臨床理 43 1135-1139.
G95N14: Zhang K, Higa F, Koide M, Kusano N, Saito A (1995) Clinical evaluation of rapid detection of Mycobacterium tuberculosis using a polymerase chain reaction method. Ryukyu Med J 15 127-131.
G95N16: 健山正男, 普久原浩, 斎藤厚, 草野展周, 他6名 (1995) 新しいキノロン系抗菌薬balofloxacinのin vitro抗菌力ならびに呼吸器感染症に対する臨床的評価. 日化療会誌 43 (S-5) 281-287.
G95N16: 當山真人, 草野展周, 斎藤厚 (1995) Prevotella intermediaの培養濾液中成分および短鎖脂肪酸の好中球機能に及ぼす影響. 感染症誌 69 1348-1355.
G95N17: 小出道夫, 斎藤厚, 川上和義, 草野展周 他4名 (1995) Polymerase chain reaction法によるクーリングタワー水から分離したLegionella pneumophilaの同定. 感染症誌 69 79-84.
G95N18: 當山真人, 草野展周, 兼島洋, 普久原浩, 斎藤厚, 外間政哲 (1995) 間質性肺炎の急性増悪との鑑別が困難であった非定型抗酸菌症の1例. 日胸臨 54 116-121.
G95N19: Toyoda K, Kusano N, Saito A (1995) Pathogenicity of the Streptococcus milleri group in pulmonary infections -Effect on phagocytic killing by human polymorphonuclear neutrophils-. 感染症誌 69 308-315.
G95N20: 普久原浩, 斎藤厚, 草野展周, 外間政哲 他9名 (1995) 呼吸器感染症におけるcefluprenamの基礎的, 臨床的検討. 日化療会誌 43(S-4) 88-93.
G95N21: 松本文夫, 今井健郎, 桜井磐, 斎藤厚, 普久原浩, 草野展周 他134名 (1995) 細菌性肺炎に対するbiapenemとimipenem/cilastatinの臨床的有用性に関する比較試験. 日化療会誌 43 41-62.
G95N22: 松本文夫, 今井健郎, 桜井磐, 斎藤厚, 普久原浩, 草野展周 他134名 (1995) 慢性気道感染症に対するbiapenemとimipenem/cilastatinの臨床的有用性に関する比較試験. 日化療会誌 43 63-84.
 2. 総説
S95N02: 草野展周 (1995) 院内感染の予防 -院内感染と抗菌薬-. Mod Media 41 118-122.
S95N04: 草野展周 (1995) 臨床医の治療薬: 抗菌薬K. キノロン系. 臨床医 21 1444-1450.
S95N05: 草野展周 (1995) 真菌検査の進め方 8)迅速検査. Med Technol 23 臨時増刊 629-638.
S95N06: 草野展周, 斎藤厚 (1995) 肺炎・肺化膿症におけるviridans streptococci. 化療の領域 11 1589-1296.
S95N07: 豊田和正, 草野展周 (1995) Streptococcus milleri group. 検と技 23 720.
S95N08: 當山真人, 草野展周 (1995) 経口テトラサイクリンの適応病態. 診断と治療 83 1353-1358.
S95N12: 草野展周 (1995) 呼吸器感染症の診断 遺伝子診断で起炎菌はどこまで明らかにできるか. Med Pract 12 1437-1439.
 3. 著書
T95T01: Toda T, Tamamoto T, Shimajiri S, Sadi AM, Nakashima Y, Takei H (1995) Expression of PDGF and c-myc in atherosclerotic lesions in cholesterol-fed chicken. Immunohistochemical and In situ hybridization study. In Atherosclerosis III: Recent Advances in Atherosclerosis Research Annals of the New York Academy of Sciences, New York Academy of Sciences, New York, 514-516.
 4. 報告
H95T01: Sadi AM, Tamamoto T, Kiyuna M, Shingaki Y, Toda T (1995) A case report of true hermaphrodite with bilateral ovotestis. 日病理会誌 84 189.
H95T02: 戸田隆義, 玉元徹, 喜友名正也, Sadi AM (1995) 鳥類モデルと実験的動脈硬化症: (VII) 食用油脂のウズラ粥状硬化惹起性の主成分分析法による比較検討. 日病理会誌 84 191.
H95T03: 喜友名正也, 玉元徹, Sadi AM, 新垣宜貞, 仲宗根克, 戸田隆義 (1995) 新生児心横紋筋腫の一剖検例 日病理会誌 84 196.
H95N01: 普天間光彦, 比嘉太, 我謝道弘, 稲留潤, 小出道夫, 普久原浩, 川上和義, 草野展周, 斎藤厚 (1995) マクロライド系, ニューキノロン系抗菌剤のヒト好中球内移行の検討. 日化療会誌 43 233.
H95N02: 我謝道弘, 比嘉太, 古波蔵紀子, 健山正男, 大湾勤子, 稲留潤, 普久原浩, 斎藤厚, 草野展周, 光武耕太郎, 野田哲寛 (1995) Fluconazole(FLCZ)耐性Candida感染症の2例. 日化療会誌 43 269.
H95N03: 山口惠三, 広瀬崇興, 渡辺彰, 猪狩淳, 草野展周 他13名 (1995) 臨床由来緑膿菌の各種抗菌薬に対する感受性調査. 日化療会誌 43 273.
H95N04: 豊田和正, 田場秀樹, 當山真人, 新里敬, 川上和義, 斎藤厚, 仲宗根勇, 平良真幸, 草野展周, 外間政哲 (1995) Streptococcus milleri groupの薬剤感受性について. 日化療会誌 43 290.
H95N05: 小出道夫, 宮良高維, 久手堅憲史, 普久原浩, 草野展周, 斎藤厚 (1995) アジスロマイシンの各種細菌およびLegionellaに対する抗菌力. 日化療会誌 43 310.
H95N06: 當山真人, 豊田和正, 新里敬, 草野展周, 川上和義, 普久原浩, 斎藤厚, 仲宗根勇, 平良真幸, 外間政哲 (1995) 琉球大学附属病院において1990年以降分離されたMRSAについて. 日化療会誌 43 386. H95N07: 田場秀樹, 當山真人, 豊田和正, 新里敬, 斎藤厚, 仲宗根勇, 草野展周, 外間政哲 (1995) Pseudomonas aeruginosaに対するニューキノロン系抗菌薬のin vitroおよびin vivoにおける効果の比較検討. 日化療会誌 43 572.
H95N08: 普久原浩, 斎藤厚, 仲宗根勇, 草野展周 (1995) 実験的Burkhorderia pseudomallei肺炎マウスに対する各種抗菌剤療法の検討. 日化療会誌 43 580.
H95N09: 普天間光彦, 伊志嶺朝彦, 照屋勝治, 當山雅樹, 小出道夫, 普久原浩, 川上和義, 草野展周, 斎藤厚 (1995) マクロファージの各種病原体に対する殺菌能に与えるIFN-γの効果. 日化療会誌 43 591.
H95N10: 當山真人, 豊田和正, 田場秀樹, 新里敬, 斎藤厚, 仲宗根勇, 草野展周, 外間政哲 (1995) 琉球大学病院におけるペニシリン耐性肺炎球菌の分離状況と薬剤感受性について. 日化療会誌 43 599.
H95N11: 伊志嶺朝彦, 仲本敦, 川上和義, 斎藤厚, 草野展周, 上田泰 (1995) マウスカリニ肺炎モデルの作成とダプソンの治療効果. 日化療会誌 43 940.
H95N12: 田場秀樹, 當山真人, 宮城啓, 豊田和正, 新里敬, 斎藤厚, 仲宗根勇, 平良真幸, 草野展周, 外間政哲 (1995) ペニシリン耐性肺炎球菌の薬剤感受性およびpenicillin-binding proteinsに関する検討. 日化療会誌 43 273.
H95N13: 仲宗根勇, 平良真幸, 草野展周, 外間政哲, 當山真人, 豊田和正, 田場秀樹, 宮城啓, 新里敬, 斎藤厚 (1995) 臨床材料より分離されたCorynebacterium属の薬剤感受性について. 日化療会誌 43 973-974.
H95N14: 普天間光彦, 比嘉太, 伊志嶺朝彦, 豊田和正, 小出道夫, 川上和義, 草野展周, 斎藤厚 (1995) Legionella pneumophilaに対するerythromycinとlevfloxacinの併用療法の基礎的検討. 日化療会誌 43 1000-1001.
H95N15: 新里敬, 草野展周 (1995) "Streptococcus milleri group". 日臨微会誌 5 34.
 5. その他
M95N16: 仲宗根勇, 平良真幸, 草野展周, 新里敬, 斎藤厚 (1995) Streptococcus milleri groupの同定に及ぼす培養環境および前培養培地の影響について. 日臨微会誌 5 77.
M95N17: 豊田和正, 宮城啓, 田場秀樹, 當山真人, 新里敬, 小出道夫, 斎藤厚, 仲宗根勇, 草野展周, 外間政哲 (1995) MRSA全身皮膚感染患者のシャワー使用前後における風呂場の汚染状況. 環境感染 10 60.