形態病理学教室


A.研究課題の概要

 1. Myospherulosisの成因に関する実験的研究(島田勝政, 大城吉秀)
 Myospherulosisは組織学的にCystic spaceの中に多数のendobody (spherules) とそれらを取り囲む袋状構造物(parent body)からなる特徴的な病変である。報告された最初の頃は, spherulesの形態やその組織学的背景から真菌を含めた感染症が疑われ, 種々の培養が試みられたがいずれも成功しなかった。 一方, 電顕を含めた形態学的検索でspherules内部に核片様物質やfilamentsを認めたとの報告もあるが核そのものは未だ確認されておらず, 真菌を含めた感染症は否定的であった。 我々は, Myospherulosisの成因を明らかにするために, in vitroにおいてラノリン, オレイン酸, リノール酸, ビタミンEと, 全血, 洗浄赤血球, 血漿, あらかじめ固定した赤血球を用いてMyospherulosisを作り出すことを試み, その経時的観察よりparent bodyの成立とその組成, 及びendobodyの形成過程を解明しつつある。
 2. 沖縄県における老人保健法に基づく子宮癌検診, 肺癌検診の現状と問題点
   ー特に細胞診の面からー(島田勝政, 大城吉秀)
 昭和58年に老人保健法 (老健法) が施行され子宮癌検診も細胞診を主体に実施されている。 我々は昭和58年から平成2年までの8年間の沖縄県における子宮癌検診, 肺癌検診の現状を各市町村が行なった検診報告書を基に検討を加えている。 沖縄県と全国の受診率, 要精検率, 癌発見率を比べてみると, 沖縄県は全国に比べて受診率が高く, 癌発見率も高い。 また子宮癌の訂正死亡率でも高くなっている。 那覇市と村部の比較では受診率では那覇市が低いが, 癌発見率は那覇市が高い。 沖縄県は子宮癌, 肺癌の発見率が高く, 今後那覇市の受診率の向上と子宮癌, 肺癌の早期発見に努めるとともにスタッフ (特に細胞検査士)の養成に力を入れなければならない。
 3. ストレスによるAGMLの発生とその抑制(島田勝政, 大城吉秀)
 ラットを用いて拘束水浸ストレスを付加してAGMLの発現とその発現を抑制する栄養素の検討を行なっている。
 4. トリプシンインヒビターによる肝癌発生の抑制 (島田勝政, 大城吉秀)
 化学発癌による肝癌発生をトリプシンインヒビターによって抑制可能かを検討している。