創刊の辞

琉球大学教授 池田榮史(研究者総覧へリンク)

 1950年5月22日に琉球大学が開学して以来、半世紀が過ぎようとしています。
 米軍による大学の設置から、沖縄の施政権が日本政府に返還されることに伴う、国立大学への移管をはじめとした幾多の変遷を経て、今日では来る21世紀に国立大学を独立法人化することを念頭においた胎動も始まっています。
 このような東アジア、あるいは日本の現代史にも、深い係わりを持つ琉球大学の歩みからすれば、ささやかな出来事ではありますが、1994年4月法文学部の組織改革に伴って人文学科が設置され、この中に考古学を専門的に学ぶカリキュラムが置かれました。翌1995年4月には大学院人文科学研究科(修士課程)も設置され、大学院での学生の指導も始まりました。さらに1997年4月には、教養部の発展的解消に伴う組織再編によって、人文学科が国際言語文化学科と人間科学科に分離し、考古学のカリキュラムは人間科学科地理・人類学専攻課程に属することとなりました。1998年3月にいたり、第1期の卒業生を送り出すことができましたが、今後も少しずつ大学教育・研究機関としての組織作りや活動を進めていきたいと考えています。
 本研究集録の創刊は、このような模索の一つです。
 本集録は、考古学研究室が行っている研究・教育活動の内容を広く報告すること、教官や学生が取り組んでいる研究を発表すること、さらには卒業生や本研究室に係わっていただいた方々の研究や活動を紹介すること、などを目的としています。
 日本の版図としては最南端ではあるものの、東アジアにおいては拠点的な位置を占めることともなる、琉球列島に設置された大学における考古学研究室としての使命を自覚しながらも、肩肘張らない堅実な今後の活動の方向性を、本集録において探ることができればと、私に願っています。
 本集録に対する多くの方々の御指導・御叱正・御協力を、心からお願いしたいと存じます。


1999年9月23日(台風18号沖縄本島通過の日)